2006年4月
中部7県で活躍されている「EPOな人」をご紹介します。
EPOな人とは、環境パートナーシップ促進にがんばっている人です。
今月のEPOな人が、次のEPOな人をリレー紹介していきます。
第1回は、EPO中部運営協議会座長の千頭聡さん(日本福祉大学情報社会科学部教授)です。
■プロフィール
千頭 聡(ちかみ さとし)
日本福祉大学情報社会科学部 教授
特定非営利活動法人こども環境活動支援協会 代表理事
趣味は山登り。ここ十年ほど、インドネシア半島の中央部に位置するラオスの焼畑地域に出かけ、持続可能な社会のあり方を考えている。自宅でも、家庭菜園より少し大きい畑で、自然(雑草)と仲良く、農作業をする日々を送っている。
1.EPOとの出会い、関わり
 2004年度に立ち上がった、EPO中部のあり方を考える検討会の座長を務めたことがきっかけです。静岡県を含む東海・中部地域のNPO、行政、企業などのメンバーが、中部環境パートナーシップオフィスをどのように立ち上げていったらよいかを議論しました。白熱した議論にはなかなかならず、それぞれが過去に体験してきたパートナーシップの虚像と実像の枠組みからなかなか抜け出せなかったことが印象的です。
 今年度からは、運営協議会の座長になりました。EPOな人のトップバッターになったのは、それが理由だと思いますが、座長役は、面白い時もつまらない時もあります。3月終わりに開催された最初の協議会では、北陸地域の元気なNPOの方々も参加していただき、EPO中部もやっと離陸しかかったかなという感じです。

2.自分を食べ物や動物であらわすと
 自分を動物にたとえるともヒトですね。イヌのように飼い主に従順でもなく、ネコのように孤独を楽しめるわけでもなく、サルのように、エサ取りがうまい訳でもないので、やっぱりヒトでしょう。
 たとえばワークショップをファシリテートしていて、参加者の反応がよければワクワクし、会議の席上でつまらない議論ばかり聞いているとイライラし、ゼミの学生が社会でがんばっていることを聞くとウレシクなります。だからヒトでしょう。

3.EPO中部に期待すること
 最近、パートナーシップとは、とよく聞かれます。その時の答えはいつも、「違いを理解することから始まるもの」
 いくつか実例をお話ししましょう。最初は、今からずいぶん前の話。ある市で行政と市民の協働を議論していた時、行政側のメンバーのくいつきが悪いので、率直に尋ねてみました、「皆さんにとっての市民とは?」。ある職員は、「週に1回窓口に来て、課長に世間話を2時間して帰るおばあさん」。別の職員は、「市長出せ!といって怒鳴り込んでくる人」。実は行政マンは、こんな「市民」との協働に頭を悩ませていたことにようやく気がつきました。
 2つ目は、ある県で公共的空間の管理における県民との協働を議論していた時。ある行政マン曰く、「やっぱり県民との協働なんて無理だ。俺たちは仕事として取り組んでいるのに、県民は趣味で関わっている」と。思わず、「そりゃ、当たり前でしょう。皆さんは給料もらって仕事として取り組んでいるけど、県民は、仕事が終わった後の時間を割いて議論に加わっているのだから」と言ってしまいました。
 3つ目は、ある市で、大型小売店舗の店長さんと消費者グループとの懇談会がありました。消費者グループの皆さんは、「大規模小売店舗がタダでレジ袋を配るからごみ減量が進まない」のだと一方的に攻撃。店長さんたちは2時間黙って聞いて会議終了。帰り際にボソッと言われたのは、「私たちは、レジ袋ご入用ですかと聞いた途端に怒り出す人も、駐車場の片隅に古いテレビを捨てて帰る人も、お客さんとして扱わなくてはならないので...」
 最後は、最近の話。ある会議で、隣に座っていた大学教員の委員が、NPO委員が発言を始めると、「だからおれはNPOなんて嫌いなんだ。自分たちの自慢話しかしないのだから...」とブツブツ。
 パートナーシップなのだから、相手も自分たちの同じ思考回路、価値観、言葉を持っているはずだ、いや、持つべきだと短絡してしまうと、結局、かえってパートナーシップは後退してしまう場面に出くわすことがあります。まずは、相手の立場、価値観をよく聞いてみることから始めなければ、パートナーシップは前進できないと思います。
 中部EPOは、環境省が設置した組織・空間ですが、その枠に留まっていてはもったいないと思います。対象としている地域にどんどん出かけ、地域が抱えている課題やニーズをきちんと踏まえ、必要があれば掘り起こしていくことが求められています。そして、関わった市民・NPO・企業・行政などが、パートナーシップの現場に参加して、ひとつでも何かを持ち帰られるようにすることです。そのためには、環境省から与えられた予算の中だけで活動を留めずに、さまざまなリソースにアクセスしていくことが必要でしょう。
 私がよく使うキーワードは「御用聞き」と「売り込み」、そして「持ち寄り」と「持ち帰り」です。このそれぞれ両者のバランスを常に意識して、活動が進んでいくことを期待しています。
千頭聡さんは、この人を紹介します。
伊藤由美子さん(名古屋国際センター専務理事兼事務局長)